大判例

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東京高等裁判所 昭和48年(ネ)1793号・昭48年(ネ)1767号 判決

第一審原告らは、逸失利益の中間利息の控除はライプニツツ方式ではなく、ホフマン方式(年別複式ホフマン法)によるべきものであると主張するが、ライプニツツ方式は現代における貨幣資本運用(金銭利殖)の実態に合致し、長期間にわたる逸失利益の現価計算につきホフマン方式よりも理論的に合理性があるのみならず、民法第四一九条第一項、第四〇四条及び第四〇五条等の法意に照らし、民法の予定する限度を越える利息の控除をするものではないうえ、中間利息の控除に関するホフマン方式といいライプニツツ方式といっても、結局は、賠償額の適正公平な算定のための技術的便法にしかすぎないから、いずれの方式に従って中間利息を控除するかは、具体的事案の内容に応じて、損害の適正公平な分担という見地から、当該事案に最も適合した方式を選択すべきものである。しかるところ、本件の場合、被害者は死亡当時満二〇歳の学生で、その就労可能年数はなお四二年以上の長期に及ぶものであるから、かゝる事案に年利率五分の年別複式ホフマン法を採用すれば、逸失利益の現価が異常に高額化するのみならず、単利年金現価率が二〇を越える就労可能年数三六年以後においては、賠償金元本から生ずる年間の利息が年間の逸失利益を上廻るという不合理な結果が出るうえ、本件は更にこれを親が相続する、いわゆる逆相続の場合であるから、不当性は一層倍加されるものというべきである。従って、本件の場合は、以上のような欠陥を生じない年利率五分の年別複式ライプニツツ法を採用するのが相当である。もっとも、毎年物価が騰貴し、貨幣価値は下落する一方で、その維持されることの保障がない現在においては、たとい賠償金を入手しても、これをそのまゝ利殖の元本として運用することができず、生活費に費消せざるを得ない被害者が少なくないことや仮にこれをそのまゝ金融機関に預入れ複利計算による運用をしても、物価の上昇率と預金の利率との相関々係如何によっては、必ずしも実質的に利植をしたとはいえないことがあり得ることを考慮すると、ホフマン方式より中間利息の控除が大きいライプニツツ方式を採用することは、恒常的インフレ傾向の下では、実際上、被害者側に酷な場合があることも否定できない。しかし、だからといって、本件の場合、前記ホフマン方式の不合理があるにもかゝわらず、なおこれを採用すべき事由とするには十分でなく、右事情は、被害者側の慰藉料の算定に当たり、適宜斟酌して、実質的に賠償額の公平を計れば足るものというべきである。

(杉山 古川 岩佐)

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